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一人親方のインボイス2割特例終了後どうなる?【2026年最新】売上600万の納税額試算と簡易課税への切り替え手順

「2割特例が終わったら、消費税はいくら増えるのか」という不安に答えます。個人の2割特例は2026年分で終わり、2027・2028年分は3割特例、その後は簡易課税か原則課税を選ぶことになります。売上400万・600万・800万円での納税額の試算と、常用中心の職人が損しない選び方、簡易課税への切り替え手順を実務目線で解説します。

インボイス2割特例はいつ終わる?2026年からのスケジュール

2割特例の仕組みをおさらい

2割特例は、インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者になった人の負担を軽くするための措置です。計算はシンプルで、売上にかかる消費税の2割だけを納めるというものです。たとえば税抜売上600万円なら、売上の消費税は60万円です。2割特例を使うと納税額は12万円で済みます。

大きなメリットは、経費の領収書を細かく集めて仕入税額を計算しなくてよい点です。現場仕事で手一杯の一人親方には、事務の手間が少ないことも大事です。使える主な条件は次のとおりです。

  • インボイス発行事業者に登録していること
  • 基準期間(個人は2年前の年)の課税売上高が1,000万円以下であること
  • 登録しなくても免税事業者でいられた人であること

この「楽で安い」仕組みが終わるので、早めに次の手を考えておく必要があります。

個人事業者は2026年分が最後の適用年

2割特例は、2026年9月30日を含む課税期間までと決まっています。個人事業者の課税期間は1月〜12月の暦年なので、2026年1月〜12月分(2027年3月に申告する分)が最後です。

つまり今年の売上には、まだ2割特例を使えます。ただし来年以降は計算方法を変えることになるため、2026年中に次の準備をしておきましょう。

  • 自分の売上のうち、材料込みの請負と、材料支給・手間請けの常用がそれぞれどのくらいあるかを把握する
  • 2027年分以降の納税額を試算し、毎月の積立額を決める
  • 簡易課税を選ぶ場合は、届出書の提出時期を確認しておく

「申告の時期になってから考えればいい」と後回しにすると、届出が間に合わずに不利な方式で申告するしかなくなる場合があります。

2027・2028年分は個人だけの「3割特例」

令和8年度税制改正で、2割特例が終わった後の激変緩和として個人事業者だけに3割特例が設けられました。対象は2027年分と2028年分の2年間です。売上にかかる消費税の3割を納めます。法人は対象外です。

使える条件は次のとおりです。

  • 個人事業者であること(法人成りした場合は使えない)
  • インボイス発行事業者に登録していること
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下であること(2027年分は2025年、2028年分は2026年の売上で判定)

税抜売上600万円なら納税額は18万円です。2割特例の12万円と比べて年6万円、月あたり5,000円の負担増になります。急に原則課税へ移るよりはかなり穏やかな変化です。ただし2025年や2026年の課税売上高が1,000万円を超えている人は使えません。売上が伸びている人ほど、早めに確認が必要です。申告書の記載方法などの細かい手続きは、国税庁の案内や税務署で確認してください。

2割特例終了後の納税額シミュレーション【売上別・方式別】

試算の前提条件

ここでは、方式によって納税額がどう変わるかを比べるための概算を示します。実際の申告では国税と地方消費税の区分や端数処理があるので、多少ずれます。前提は次のとおりです。

  • 税率は10%、売上はすべて税抜金額で表示
  • 簡易課税の建設業は原則「第3種」で、みなし仕入率は70%(納税額は売上税額の30%)
  • 材料の支給を受けて労務だけを提供する常用・手間請けは「第4種」で、みなし仕入率は60%(納税額は売上税額の40%)
  • 原則課税では、材料・燃料・工具・車両費などの課税仕入れを売上の25%と仮定

建設業の一人親方の売上は、材料込みの請負なのか、常用で手間だけなのかによって簡易課税の区分が変わります。この違いが、2029年以降の納税額を大きく左右します。まずは自分の売上がどちらに近いかを意識して、次の試算を見てください。

売上400万・600万・800万円の納税額比較

税抜売上ごとに、方式別の年間納税額(概算)を並べました。

  • 売上400万円(売上税額40万円):2割特例8万円/3割特例12万円/簡易課税・第3種12万円/簡易課税・第4種16万円/原則課税30万円
  • 売上600万円(売上税額60万円):2割特例12万円/3割特例18万円/簡易課税・第3種18万円/簡易課税・第4種24万円/原則課税45万円
  • 売上800万円(売上税額80万円):2割特例16万円/3割特例24万円/簡易課税・第3種24万円/簡易課税・第4種32万円/原則課税60万円

売上600万円の人なら、2割特例の12万円から、2027年分は3割特例で18万円になります。2029年分以降に第3種の簡易課税を選べば18万円のまま、第4種なら24万円です。経費が少ない一人親方が何も届け出ずに原則課税になると、45万円まで跳ね上がる可能性があります。2割特例の約4倍です。一番避けたいのは「届出をし忘れて原則課税になる」ケースだとわかります。

常用・手間請け中心の職人は3割特例の方が有利

見落としやすいのが、材料支給の常用や手間請けが中心の人です。簡易課税では第4種(みなし仕入率60%)になるため、納税額は売上税額の40%になります。一方、3割特例は事業区分に関係なく30%です。

税抜売上600万円の常用大工で比べると、次のようになります。

  • 2027・2028年分:3割特例なら18万円、簡易課税(第4種)なら24万円
  • 差額は年6万円、2年間で12万円
  • 2029年分以降:3割特例がなくなるので、簡易課税なら24万円

常用中心の人は、2027・2028年は3割特例を使い、2029年分から簡易課税に移るのが基本線になります。ただし、2029年には2割特例のときより年12万円負担が増えます。この2年間を単価交渉や材料込み請負への移行の準備期間と考えて動くのが現実的です。材料込みで請ける割合が増えれば第3種の売上が増え、簡易課税での負担は軽くなります。

3割特例・簡易課税・原則課税の選び方

3割特例を使えるかのチェックポイント

2027・2028年分は、まず3割特例を使えるかどうかを確認します。使える人で、経費や設備投資が少ない人は、3割特例が最も有利か、簡易課税(第3種)と同じ額になります。確認する点は次のとおりです。

  • 2025年(2027年分の判定)と2026年(2028年分の判定)の課税売上高が、それぞれ1,000万円以下か
  • インボイス登録を続けているか
  • 2028年までに法人成りする予定がないか(法人になると対象外)

注意したいのは、売上が年によって大きく動く人です。たとえば2025年が900万円、2026年が1,100万円だった場合、2027年分は使えますが2028年分は使えません。2028年分は、簡易課税か原則課税で申告することになります。簡易課税を使いたいなら事前の届出が必要なので、2026年の売上の見込みが1,000万円前後の人は、2027年中に届出を検討しておくと安心です。売上の推移は、帳簿や会計ソフトの年別集計ですぐ確認できます。

簡易課税が向いている人

簡易課税は、実際の経費に関係なく、売上にみなし仕入率を掛けて仕入税額を計算する方法です。建設業の一人親方で、簡易課税が向いているのは次のような人です。

  • 材料込みの請負が多く、売上の大半が第3種(みなし仕入率70%)になる人
  • 実際の課税仕入れ(材料・燃料・工具など)が売上の70%を下回る人
  • 大きな設備投資の予定がない人
  • 帳簿付けの負担をできるだけ減らしたい人

材料込みの請負でも、実際の材料費や外注費が売上の70%を超えることはあまりありません。そのため多くの一人親方にとって簡易課税は有利になりやすい方式です。なお、簡易課税を使えるのは基準期間の課税売上高が一定額以下の事業者で、一度選ぶと一定期間は原則課税に戻れないルールがあります。売上規模や今後の予定と合わせて、税務署や税理士に確認してから選びましょう。

原則課税が有利になるケース

原則課税は、売上の消費税から実際に支払った仕入れの消費税を差し引く方法です。手間はかかりますが、次のような場合は簡易課税より納税額が少なくなることがあります。

  • トラックや重機など高額な設備を購入する年がある
  • 材料費・外注費の割合が非常に高い(売上の7割を超えるなど)
  • 他の一人親方に仕事を回すことが多く、外注費の比率が高い

たとえば売上600万円の年に税抜400万円の中古トラックを買うと、それだけで仕入税額は40万円です。原則課税なら納税額を大きく減らせる可能性があります。ただし外注先が免税事業者の場合、インボイス経過措置で仕入税額の控除割合は2026年9月30日までが80%、2026年10月から2028年9月30日までが70%です。満額は引けない点に注意が必要です。設備投資の計画がある人は、購入する年と方式の組み合わせを事前に試算しておきましょう。

簡易課税への切り替え手順と終了前にやるべき準備

手順1:消費税簡易課税制度選択届出書を準備する

簡易課税を使うには、税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を出す必要があります。様式は国税庁のホームページからダウンロードでき、記入する内容はそれほど多くありません。準備の流れは次のとおりです。

  1. 国税庁サイトで届出書の様式を入手する(e-Taxなら画面上で入力)
  2. 氏名・住所・個人番号・屋号・納税地を記入する
  3. 適用を受けたい課税期間(例:2029年1月1日〜12月31日)を記入する
  4. 事業内容欄に「建設業(○○工事)」など具体的な業種を書く
  5. 基準期間の課税売上高を記入する

事業区分を決めるのは申告のときですが、届出の段階で自分の業種をはっきり書いておくと、後で税務署とのやり取りがスムーズになります。会計ソフトに届出書の作成機能が付いている場合もあるので、使っている人は確認してみてください。届出書を出した後は、控えを必ず保管しておきましょう。

手順2:提出期限を逆算して出す

簡易課税の届出は、原則として適用を受けたい課税期間が始まる前までに提出する必要があります。個人事業者なら、使いたい年の前年中に出すのが基本です。申告のときに「やっぱり簡易課税にしたい」と思っても、その年には間に合いません。

年ごとの目安は次のとおりです。

  • 2029年分から簡易課税にしたい:2028年中に提出
  • 2028年分で3割特例が使えず簡易課税にしたい:2027年中に提出
  • 2027年分で3割特例が使えない(2025年の課税売上高が1,000万円超):2026年中の提出を検討

なお、2割特例を使っていた事業者には、届出の時期に関する特例が設けられています。自分が当てはまるかどうか、いつまでに出せばよいかは、所轄の税務署に確認するのが確実です。迷ったら早めに出すのが鉄則です。3割特例を使える年に簡易課税の届出が出ていても、申告時に有利な方を選べる扱いになっているかどうかも、あわせて税務署で確認しておきましょう。

手順3:提出方法と申告時の計算

届出書の提出方法は3つあります。

  • e-Tax:マイナンバーカードがあれば自宅から24時間提出でき、受付記録も残る
  • 郵送:控えと返信用封筒を同封すると、受付印を押した控えが戻ってくる
  • 窓口持参:所轄税務署に持ち込み、その場で控えに受付印をもらう

現場で忙しい一人親方にはe-Taxがおすすめです。申告の際は、売上を事業区分ごとに分けて計算します。材料込みの請負は第3種、材料支給の手間請けは第4種です。区分ごとに集計していないと、すべての売上が低い方の区分(建設業なら第4種)として計算されるおそれがあります。会計ソフトで「売上(請負)」「売上(常用・手間)」のように科目や補助科目を分けて記帳しておくと、申告時に迷いません。請求書の明細にも、材料費込みか手間のみかをはっきり書いておきましょう。

終了前の準備:納税資金の積立と単価への転嫁

方式を決めたら、増える納税額に備えてお金の流れを整えます。2026年中に始めておきたいことは次のとおりです。

  • 納税用口座を分ける:入金のたびに売上(税抜)の3%(簡易課税第3種・3割特例の目安)、常用中心なら4%を別口座に移す
  • 月額の目安を決める:売上600万円なら月1万5,000円(第3種)〜2万円(第4種)を積み立てる
  • 中間申告に備える:前年の納税額が一定額を超えると年の途中でも納付が必要になるため、年1回払いの前提で資金計画を立てない
  • 消費税を請求に乗せる:常用単価を「税込」で決めている取引先には、税抜単価+消費税の形に改める交渉を進める

日当2万5,000円・月22日稼働なら、税抜か税込かで月5万円の差が出ます。課税事業者として消費税を納める以上、請求で消費税を受け取れていなければ手取りがそのまま削られます。2割特例の終了を理由として伝えると、元請けにも事情を理解してもらいやすくなります。

まとめ

2割特例終了後のスケジュールを押さえる

個人の一人親方の2割特例は2026年分(2027年3月申告)で終わります。2027年分と2028年分は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でインボイス登録をしていれば、売上税額の3割を納める3割特例を使えます。2029年分からは、簡易課税か原則課税のどちらかを選ぶことになります。税抜売上600万円の人なら、納税額は2割特例の12万円から、3割特例や簡易課税第3種で18万円、簡易課税第4種で24万円になります。届出を忘れて原則課税になると、45万円前後まで増えるおそれがあります。まずは自分がいつ、どの方式に移るのかを年表にして把握し、家族にも共有しておくと、納税時期に慌てずに済みます。

常用中心か請負中心かで最適解が変わる

材料込みの請負が中心なら、簡易課税の第3種で負担は3割特例と同じ水準に抑えられます。一方、材料支給の常用・手間請けが中心の人は、簡易課税では第4種になり、3割特例より負担が重くなります。2027・2028年の2年間を、単価の見直しや材料込み請負の比率を上げるための準備期間として使いましょう。高額な設備投資を予定している年は、原則課税の方が有利になることもあるので、購入時期とあわせて試算するのが大切です。迷ったときは、売上の内訳と設備投資の予定を持って税理士に相談すると、判断が早くなります。

2026年中にやるべき3つの行動

最後に、今年中に手をつけておきたいことを整理します。

  • 帳簿で売上を「請負」と「常用・手間」に分けて記帳し、区分ごとの比率を把握する
  • 2025年・2026年の課税売上高を確認し、3割特例を使えるか、簡易課税の届出がいつ必要かを税務署に確認する
  • 納税用口座を作って売上の3〜4%を積み立てながら、税込単価の取引先には消費税を別に請求する交渉を始める

制度の変わり目は不安になりがちですが、数字を出して準備さえしておけば、負担増は月数千円〜1万円程度に抑えられます。2割特例が使える最後の1年を、次の仕組みづくりに使ってください。

よくある質問

Q. 2割特例が終わったら何も届け出ないとどうなりますか?
A. 2027・2028年分は、条件(個人事業者・インボイス登録・基準期間の課税売上高1,000万円以下)を満たせば3割特例を使えます。2029年分以降に簡易課税の届出を出していないと原則課税になり、経費の少ない一人親方は納税額が大きく増えるおそれがあります。届出が必要な時期は、早めに税務署で確認してください。
Q. 常用大工ですが、3割特例と簡易課税はどちらが得ですか?
A. 材料支給で労務だけを提供する常用は、簡易課税では第4種(みなし仕入率60%)となり、納税額は売上税額の40%です。3割特例は30%なので、2027・2028年分は3割特例の方が有利です。税抜売上600万円なら年6万円の差になります。
Q. 簡易課税の届出はいつまでに出せばいいですか?
A. 原則は、適用を受けたい年が始まる前(個人なら前年中)までに提出します。2割特例を使っていた人には時期の特例もあるため、自分が当てはまるかは所轄の税務署に確認するのが確実です。迷ったら早めに提出しておくのがおすすめです。
Q. 2割特例が終わるならインボイス登録をやめた方がいいですか?
A. 登録をやめると消費税の納税はなくなりますが、取引先は免税事業者からの仕入れについて仕入税額を満額控除できません(2026年10月から2028年9月までは70%)。そのため単価の引き下げや取引の見直しを求められるリスクがあります。取引先の構成と手取りの変化を試算してから判断しましょう。

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