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電気工事士の一人親方の日当は労務単価28,000円が基準|経費の上乗せと請負単価の出し方【2026年】

<b>電気工事士の一人親方の日当は、公共工事設計労務単価(2026年3月適用)の「電工」の都道府県中央値28,000円を基準に、保険料・道具・車両などの自己負担分を上乗せして決めるのが基本です。</b>この記事では、都道府県別の単価の見方、上乗せする経費の洗い出し方、常用から請負に切り替えるときの単価の出し方、手取りを守る税と支払条件の確認点を順に解説します。

電気工事士の一人親方の日当の目安は「電工」の労務単価が基準

電工の公共工事設計労務単価は都道府県の中央値28,000円

電気工事士の一人親方が日当を考えるとき、公的に確認できる基準は国土交通省の公共工事設計労務単価(2026年3月適用)にある「電工」です。電工は資格が要る電気工事の職種として、47都道府県すべてで単価が設定されています。47都道府県の単価表から当社が計算した中央値は28,000円で、最も低いのが沖縄県の23,700円、最も高いのが東京都の34,300円です。この中央値は国が公表した全国平均ではない点に注意してください。なお、全職種を合わせた全国の加重平均は25,834円で、14年連続で引き上げられています。

金額はいずれも「所定労働時間内8時間あたりの賃金」です。早出や残業を含まない1日の基本の金額として捉え、自分の地域の単価を起点にして、後述する経費の上乗せを足していくのが日当を組み立てる順番です。最初に地域の数字を押さえておくと、元請から提示された日当が高いのか低いのかを判断する物差しになります。

主な都道府県の電工単価と地域差の読み方

公共工事設計労務単価(2026年3月適用)の電工の単価を、主な都道府県で並べると次のとおりです。

  • 東京都:34,300円
  • 神奈川県:31,500円
  • 千葉県:31,400円
  • 埼玉県:31,200円
  • 宮城県:29,900円
  • 北海道:29,100円
  • 福岡県:28,900円
  • 愛知県:28,200円
  • 大阪府:28,100円
  • 兵庫県:26,600円
  • 広島県:26,300円
  • 沖縄県:23,700円

首都圏は高く、西日本や沖縄は低めという差があります。ただし、県境をまたいで働く一人親方は「住所地」ではなく「現場の所在地」の単価を見るのが実務的です。たとえば隣の県の現場に通う場合は、その県の単価を確認し、移動にかかる時間と費用を別に考えます。地域差は数千円単位で開くため、遠方の現場を受けるかどうかの判断材料にもなります。

労務単価は民間の相場・一人親方の手取りではない

最も誤解されやすいのが、この単価の性格です。公共工事設計労務単価は、公共工事に従事した労働者の賃金を調べて決めた「公共工事の積算用の賃金」です。民間工事の相場でも、一人親方の手取りでもありません。また、次のものは含まれていません。

  • 時間外・休日・深夜の割増
  • 法定福利費(事業主負担分)
  • 安全管理費・宿舎費などの必要経費
  • 一般管理費

つまり、会社に雇われている電工が受け取る賃金の目安に近いもので、一人親方はここから自分で保険料や道具代、車両費を払うことになります。労務単価と同じ日当で常用を受けると、雇われている人より手元に残る額は少なくなる可能性があります。日当を「労務単価そのもの」ではなく「労務単価+自己負担の経費」で考えることが、手取りを守る出発点です。

一人親方が日当を決めるときに上乗せする経費の考え方

国交省の参考値148%が示す「雇う側の経費」

国土交通省は参考値として、労務単価25,834円の場合に事業主が労働者1人を雇うのに必要な経費を38,234円(148%)と示しています。内訳は、法定福利費・労務管理費等が7,492円(29%)、安全管理費・宿舎費・送迎費等の現場作業にかかる経費が4,909円(19%)です。さらに国交省は、この必要経費分を下請代金に計上しないことや値引くことを不当行為としています。

この148%は「会社が人を雇うときの費用」であり、一人親方の適正な日当をそのまま示す数字ではありません。しかし、一人親方は本来会社が負担する保険料や道具・車両・移動の費用を自分で背負っています。労務単価に何かを上乗せして考えることには公的な根拠がある、という説明材料として使えます。元請に「労務単価だけでは経費が出ない」と伝えるとき、この国交省の考え方を示すと話が通りやすくなります。

電気工事の一人親方が自分で負担する費用の洗い出し

上乗せ額を決めるには、まず1年間に自分で払っている費用を書き出し、稼働日数で割って「1日あたりの経費」を出します。電気工事で一般的に発生する費用は次のとおりです。

  • 労災特別加入の保険料、国民健康保険・国民年金
  • 賠償責任保険など任意の保険料
  • 電動工具・測定器(テスター、絶縁抵抗計など)の購入・校正・修理費
  • 脚立・保護具・ヘルメットなどの消耗品
  • 車両の維持費、燃料代、駐車場代、高速代
  • 電話・スマホ・図面確認用タブレットの通信費
  • 資格の講習・更新にかかる費用
  • 材料の立替えが発生する場合の資金負担

金額は人や地域で大きく異なるため、自分の帳簿や通帳から実額を拾うのが確実です。年間の合計を稼働見込み日数で割った金額が、労務単価に上乗せすべき最低ラインです。ここを把握せずに日当を受けると、売上は立っても手取りが残らない状態になりやすくなります。

日当の下限を出す手順と早出・残業の扱い

日当を決めるときは、次の順で計算すると抜けが減ります。

  1. 現場所在地の電工の労務単価(2026年3月適用)を確認する
  2. 上で洗い出した年間経費を稼働日数で割り、1日あたりの経費を出す
  3. 1と2を足した金額を「日当の下限」とする
  4. 移動時間が長い現場、夜間作業、高所・活線近接など負担の大きい作業は別に加算を検討する
  5. 何時から何時までを1日とするか、超えた場合の扱いを事前に決める

労務単価は8時間あたりの金額なので、早出・残業・休日作業は含まれていません。一人親方は労働者ではないため割増賃金の規定がそのまま当てはまるわけではありませんが、「8時間を超えたら時間割で加算」「夜間作業は別単価」といった取り決めを口頭ではなく書面やメッセージで残しておくと、後のトラブルを防げます。電気工事は他職種の後工程になりやすく、待ち時間が発生しやすい点も考慮しておきましょう。

常用から請負に切り替えると日当の考え方はどう変わるか

常用と請負の違いと、それぞれの手取りの構造

常用は「1日いくら」で労務を提供する形で、作業量にかかわらず日当が決まります。請負(手間請け)は「この範囲の工事をいくらで仕上げる」という形で、早く正確に終われば1日あたりの実入りが増え、手戻りや段取りの悪さがあれば減ります。

  • 常用:収入が読みやすい。上限は日当×稼働日数で決まる
  • 請負:段取り・技量で1日あたりの収入が変わる。見積もり違いのリスクを自分で負う
  • 常用:指揮命令を受ける働き方に近く、偽装請負と見られないよう契約内容の整理が必要
  • 請負:工事の完成に責任を持つため、施工範囲・数量・やり直しの扱いを契約で決める必要がある

電気工事は、器具付け・配線・盤まわりなど作業単位が数えやすい工種が多く、慣れた工事ほど請負に向きます。逆に、現場の進み具合に左右される改修工事や、他職との調整が多い現場は常用のほうがリスクを抑えられます。どちらが得かではなく、工事の性質で使い分けるのが現実的です。

手間請け単価の下限は「日当÷1日の施工量」で出す

手間請けの平米単価・メートル単価・器具1台あたりの単価には、公的な基準がありません。そこで、根拠のある日当から逆算して下限を出す方法が有効です。

  1. 前章の手順で「日当の下限」を決める
  2. その作業を自分が1日に施工できる量(配線のメートル数、器具の取付台数など)を過去の実績から出す
  3. 日当の下限÷1日の施工量=1単位あたりの単価の下限の目安
  4. 墨出し・搬入・片付け・試験・手直しの時間を施工量から差し引いて補正する

たとえば、提示された1台あたりの単価に自分の1日の取付台数を掛けた金額が日当の下限を下回るなら、その条件では常用より手取りが減ると判断できます。施工量は天井高、既存配線の有無、資材の支給状況で変わるため、工事ごとに見直すことが大切です。数字の根拠を自分で示せることが、そのまま単価交渉の材料になります。

請負の見積書に必ず書いておく項目

請負に切り替えるときは、見積書の書き方で手取りが左右されます。「一式」だけで出すと、追加や手直しの費用を請求しにくくなります。最低限、次の項目を分けて書いておきましょう。

  • 工事名・現場所在地・施工範囲(どこからどこまでか)
  • 作業ごとの数量と単価(配線、器具取付、盤結線、試験など)
  • 材料の支給か自己手配かの区別
  • 施工範囲外の作業と、追加になった場合の単価の決め方
  • 工期と、待ち時間・中断が発生した場合の扱い
  • 支払時期と支払方法
  • インボイス登録の有無と消費税の扱い

材料の支給か自己手配かは、後述する消費税の簡易課税の区分にも関わります。見積書を出したら、注文書や発注メールなど書面で受注内容を確認できる形にしておくと、口頭指示による追加工事の請求漏れも防げます。

電気工事士の一人親方が日当を上げるための材料と仕事の取り方

単価交渉で示す材料と伝え方

日当の交渉は「上げてほしい」と伝えるだけでは通りにくく、相手が社内で説明できる材料を渡すことが近道です。電気工事士が用意しやすい材料は次のとおりです。

  • 現場所在地の電工の公共工事設計労務単価(2026年3月適用)
  • 国交省が必要経費の計上を求めているという考え方
  • 自分で負担している保険料・車両・工具の1日あたりの額
  • 保有資格(第一種・第二種電気工事士など)で対応できる工事の範囲
  • 過去の施工内容・手直しの少なさ・工程を守った実績

伝え方としては、契約更新や新しい現場の受注時など区切りのタイミングで、書面かメッセージで根拠を添えて提示するのが基本です。建設業法では不当に低い請負代金が禁止されています(第19条の3)。ただし、交渉はあくまで当事者同士で行うもので、法律を盾にするより、数字で納得してもらう姿勢のほうが継続取引につながりやすくなります。

名鑑・プロフィールに書く信頼材料

元請や工務店が一人親方を探すとき、最初に見るのはプロフィールです。電気工事は資格が要る工種なので、何ができるかを具体的に書くほど連絡を受けやすくなります。企業・職人名鑑に無料登録する際は、次の項目を埋めておきましょう。

  • 工種:住宅の屋内配線、店舗改修、弱電・LAN、太陽光、盤まわりなど得意分野
  • 対応エリア:市区町村単位で、遠方対応の可否も
  • 保有資格:電気工事士の種別、そのほかの講習修了など
  • 労災特別加入の有無:現場入場の条件にされることが多い
  • インボイス登録の有無
  • 対応できる契約形態:常用・請負のどちらか、両方か
  • 保有している車両・測定器など

「何でもやります」より、得意な工事と対応範囲が明確なほうが、相手は依頼内容を想定しやすくなります。名鑑は連絡のきっかけを作る場であり、条件の交渉は自分と相手の間で直接行う点も押さえておきましょう。

閑散期の埋め方と取引先の分散

日当をいくら上げても、稼働日が減れば年間の売上は下がります。電気工事は新築の工程に合わせて仕事が集中しやすく、取引先が1社に偏っていると、その会社の受注状況に収入が左右されます。閑散期を埋めるには、次のような分散が考えられます。

  • 新築中心なら、改修・リフォーム・店舗工事を扱う工務店にも声をかける
  • 設備会社・空調業者・内装業者など、電気工事を外注する他業種の元請を開拓する
  • 点検・小規模修繕など、短期でも入れる仕事を持つ取引先を作る
  • 繁忙期に断った相手には、空き予定を事前に伝えておく

閑散期に安い日当で受けると、その単価が基準として定着することもあります。どこまでなら受けるかの下限を前章の計算で決めておき、下限を割る仕事は短期と割り切るなど、自分なりの判断基準を持っておくと交渉で迷いにくくなります。

日当から手取りを守る:インボイス・支払条件・労災の確認点

インボイスの経過措置は2026年10月から70%に

インボイス発行事業者に登録していない一人親方に元請が支払う場合、元請は仕入税額相当額の一部しか控除できません。令和8年度税制改正後の経過措置では、控除割合は2026年9月30日まで80%、2026年10月1日〜2028年9月30日は70%、2028年10月1日〜2030年9月30日は50%、2030年10月1日〜2031年9月30日は30%、2031年10月1日以降は控除なしと段階的に下がります。

つまり2026年10月以降、未登録の一人親方に発注すると元請の負担はこれまでより増えます。その結果、日当の見直しや登録の要請を受ける可能性があります。登録するかどうかは、取引先が登録を求めているか、売上規模、消費税の納付額を比べて判断します。迷う場合は、取引先に方針を確認したうえで税務署・税理士に相談するのが確実です。

2割特例・3割特例・簡易課税で納税額を見積もる

登録した場合の納税額の目安を知っておくと、日当の設定に消費税分をどう反映するか判断しやすくなります。

  • 2割特例:2026年9月30日を含む課税期間(個人事業者は2026年分)まで
  • 3割特例:2027年分・2028年分は個人事業者のみ。売上税額の3割を納付。基準期間の課税売上高1,000万円以下・インボイス登録が条件
  • 簡易課税:建設業は原則第3種70%。材料の支給を受けて労務だけを提供する場合は第4種60%

電気工事の一人親方は、材料を元請から支給される常用・手間請けが多く、その場合は第4種に当たる可能性があります。材料を自分で手配する工事か、支給を受ける工事かで区分が変わるため、見積書や請求書で区別しておくと申告時に迷いません。具体的な選択は税務署・税理士に確認してください。

支払条件と労災特別加入・許可の線引き

日当が高くても、入金が遅れれば資金繰りは苦しくなります。受注前に次の点を確認しましょう。

  • 締め日と支払日、振込手数料をどちらが負担するか
  • フリーランス法(2024年11月1日施行):従業員を使わない一人親方への工事の一部発注も対象になり得る。取引条件の明示、報酬は受領日から60日以内に支払う
  • 建設業法:元請負人は注文者から出来高払・竣工払を受けた日から1か月以内に下請代金を支払う(第24条の3)
  • 取適法(旧・下請法)は、建設工事を他の建設業者に請け負わせる取引(一人親方への工事の発注を含む)は対象外

あわせて、労災特別加入は現場入場の条件になることが多く、ケガで働けない期間の収入を守る手段でもあります。また、一定金額以上の工事を自分で請け負うには建設業許可が必要になり、電気工事を営むには登録電気工事業者としての手続きも関わります。金額の線引きや必要な手続きは、許可行政庁や都道府県の担当窓口で確認しておきましょう。

まとめ

電気工事士の一人親方の日当は、公共工事設計労務単価(2026年3月適用)の電工の単価を起点に考えるのが基本です。都道府県の中央値は28,000円、東京都34,300円から沖縄県23,700円まで地域差があります。ただしこれは公共工事の積算用の賃金で、民間の相場や一人親方の手取りではありません。次の一手として、まず現場所在地の単価を確認し、自分の年間経費を稼働日数で割って日当の下限を出してください。請負を受けるときは、その下限を1日の施工量で割って単価の下限を確かめます。そのうえで、資格・対応エリア・労災特別加入・インボイス登録の有無をプロフィールに明記し、取引先を分散させて稼働日を確保すること。2026年10月のインボイス経過措置の変更と支払条件の確認も忘れずに行い、売上だけでなく手元に残る額を守っていきましょう。

よくある質問

Q. 電気工事士の一人親方の日当はいくらが目安ですか?
A. 公的に確認できる基準は公共工事設計労務単価(2026年3月適用)の「電工」で、都道府県の中央値は28,000円、東京都は34,300円です。ただし公共工事の積算用の賃金で民間の相場や一人親方の手取りではないため、保険料・工具・車両など自己負担の経費を上乗せして日当の下限を決めるのが基本です。
Q. 労務単価と同じ日当で常用を受けても問題ありませんか?
A. 労務単価には法定福利費や安全管理費などの必要経費、時間外の割増が含まれていません。一人親方はこれらを自分で負担するため、同じ金額で受けると手元に残る額が少なくなる可能性があります。年間経費を稼働日数で割った1日あたりの経費を把握し、上乗せを検討してください。
Q. 手間請けの単価はどう決めればよいですか?
A. 手間請けの単価に公的な基準はありません。日当の下限を、自分が1日に施工できる量(配線のメートル数や器具の取付台数など)で割ると、1単位あたりの単価の下限の目安が出ます。段取りや片付け、試験の時間も考慮して補正してください。
Q. インボイス未登録だと日当に影響しますか?
A. 未登録の一人親方に発注した場合の元請の控除割合は、2026年9月30日まで80%、2026年10月1日からは70%に下がります。元請の負担が増えるため、日当の見直しや登録の要請を受ける可能性があります。登録の判断は取引先の方針を確認したうえで税務署・税理士に相談してください。

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