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2026年最新|経営事項審査(経審)の仕組みと点数を上げる7つの実務対策:元請け評点アップで公共工事受注を拡大する完全ガイド

「経審の点数が上がらない」「競合より格付けランクが低くて指名が取れない」と悩む建設会社の経営者・管理者へ。本記事では経営事項審査(経審)の仕組みを基礎から整理したうえで、総合評定値(P点)を実際に押し上げる7つの実務対策を具体的な数値・根拠つきで解説します。

経営事項審査(経審)とは何か:P点の仕組みを正しく理解する

経営事項審査(経審)とは、公共工事を直接発注者から受注しようとする建設会社が必ず受けなければならない審査制度です。建設業法第27条の23に根拠を持ち、審査を受けた結果として算出される「総合評定値(P点)」が、各発注者の格付け・指名競争入札参加資格の基礎数値となります。

P点が高ければ高いほど上位ランクの工事に参加でき、受注単価・受注規模ともに有利になります。逆にP点が低下すると、これまで入札参加できていた案件から締め出されるリスクもあります。まず構造を正確に把握することが、点数アップ戦略の第一歩です。

P点を構成する4つの評点とウエイト

P点は以下の4つの評点を加重平均して算出されます(国土交通省告示の計算式)。

  • X1(完成工事高評点):ウエイト0.25。審査基準年度を含む直近1年または2年平均の完成工事高を点数化。
  • X2(自己資本額・利払前税引前償却前利益額評点):ウエイト0.15。財務健全性を評価。
  • Y(経営状況評点):ウエイト0.20。8つの財務指標を登録経営状況分析機関が審査。
  • Z(技術力評点):ウエイト0.25。技術職員数と元請完成工事高で構成。
  • W(社会性等評点):ウエイト0.15。労働福祉・建設機械保有・若年技術者・女性技術者など社会的要件を評価。

計算式は「P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」です。各評点の最大値はおおむね2,000点前後、P点の業界平均は業種・規模によって異なりますが、土木・建築の中小企業では700〜900点台が最も多い分布帯となっています。

審査基準日・申請時期と「有効期間1年」の罠

経審の結果通知は審査基準日(決算日)から有効期間が1年7か月と定められています。この期限を1日でも超えると公共工事の入札参加資格が失効し、受注機会がゼロになります。決算確定→経営状況分析申請→経審申請→結果通知というフローに通常3〜4か月かかることを逆算し、決算後60日以内に動き出すスケジュール管理が必須です。特に年度末の3〜4月は申請が集中し、行政側の処理が遅延するケースも報告されています。早期申請を社内ルール化しておくことを強く推奨します。

X1(完成工事高評点)を上げる実務対策①②

P点の中でX1とZは各0.25のウエイトを持ち、最もレバレッジが効きます。完成工事高は「直前1年」と「直前2年平均」のいずれか有利な方を選択できるため、年度ごとの状況に応じた選択戦略が重要です。

対策①:元請工事の比率を意識的に高める

X1の基礎数値となる完成工事高は、元請工事と下請工事を合算した値です。ただしZ(技術力評点)の一部「元請完成工事高」は元請けのみが対象となるため、下請け専業では技術力評点の上限が低く抑えられます。具体的には、技術力評点Zの計算において、元請完成工事高の占める割合が高いほど評点換算係数が有利になります。

実務対策としては、「小規模でも元請けとして受注できる案件を1件でも多く獲得する」意識が重要です。自治体の小規模修繕契約制度(500万円未満程度)や、住宅改修の直接受注ルートを営業部門と連携して開拓することで、元請完成工事高の積み上げが可能になります。年間で元請工事比率を10ポイント引き上げるだけでもZ評点に数十点の改善効果が出るケースがあります。

対策②:2年平均を使った「平均化」戦略

業績が年度ごとに波のある会社は、直前1年と直前2年平均のどちらが高いかを必ず試算してから申請してください。例えば直前1年の完成工事高が1億円、前年が2億円の場合、2年平均は1億5,000万円となり、1年のみより有利です。逆に直前1年が好調な場合は1年選択が得策です。この選択は業種別に行うことができるため、業種ごとに最適な年数を選ぶ細かい作業が必要です。税理士任せにせず、経審に詳しい行政書士と連携して最終試算を行うことを強く推奨します。

Y(経営状況評点)を改善する実務対策③④

Y評点は民間の登録経営状況分析機関が審査する8つの財務指標から算出されます。最低値は0点、最高値は100点(換算後評点は約1,595〜1,790点程度)。財務改善は1〜2年単位の継続努力が必要ですが、決算前に対策を打てる余地があります。

対策③:8指標を決算前にシミュレーションする

Y評点を構成する8指標は以下の通りです。

  1. 純支払利息比率(低いほど有利)
  2. 負債回転期間(短いほど有利)
  3. 総資本売上総利益率(高いほど有利)
  4. 売上高経常利益率(高いほど有利)
  5. 自己資本対固定資産比率(高いほど有利)
  6. 自己資本比率(高いほど有利)
  7. 営業キャッシュフロー(プラスほど有利)
  8. 利益剰余金(高いほど有利)

決算締め前の1〜2か月の時点で試算を行い、例えば「借入金の一部繰り上げ返済で負債回転期間を短縮できないか」「不要在庫を処分してキャッシュフローを改善できないか」「役員報酬の時期調整で利益額を適正化できないか」といった対策を打ちます。特に売上高経常利益率は1%の改善でもY評点換算で10〜20点の変動要因になり得ます。

対策④:借入構成の見直しで純支払利息比率を改善する

純支払利息比率は「(支払利息-受取利息)÷売上高×100」で算出されます。この数値が低いほど評点に有利です。支払利息の削減には、金利の高い短期借入を低金利の長期借入に借り換える、または政府系金融機関(日本政策金融公庫・信用保証協会保証融資)の低利融資に切り替える方法が有効です。現在の金利水準であれば、年利2.5〜3.5%の民間ローンを年利1.0〜1.8%程度の政府系融資に借り換えるだけで、支払利息を年間数十万円単位で削減できるケースがあります。これがY評点の改善に直結します。

Z(技術力評点)・W(社会性等評点)を上げる実務対策⑤⑥

Z評点とW評点はいずれも「人」と「仕組み」で改善できる領域であり、財務指標と異なり中長期的な計画投資が効果を発揮します。

対策⑤:技術職員の資格取得を組織的に後押しする

Z評点の「技術職員数点数」は、保有資格の種類・レベルによって1人あたり1〜6点が加算される仕組みです(建設業法施行規則第18条の3に基づく別表)。例えば1級施工管理技士は5点、2級施工管理技士は2点、監理技術者講習修了者は+1点加算されます。

社員5人が2級から1級に昇格した場合、5人×3点=15点の増加となり、Z評点換算で30〜60点程度の向上が見込まれます。実務対策としては以下が効果的です。

  • 受験費用・テキスト代の会社全額負担(1人あたり3〜8万円程度)
  • 試験直前の有給取得を奨励し、受験しやすい環境を整備
  • 合格報奨金の設定(1級取得で5〜10万円の一時金が相場)
  • CPD(継続教育)記録を会社として管理し、監理技術者講習の受講を組織的に実施

また、技術職員として評点に算入されるためには「審査基準日において6か月以上雇用している」要件があります。中途採用の場合は入社タイミングを決算日から逆算して計画することが必要です。

対策⑥:W評点の「社会性」項目を一つずつ積み上げる

W評点は15のチェック項目からなり、各項目の充足状況で点数が積み上がります。主な項目と実務対策は以下の通りです。

  • 労災保険加入(必須):未加入はW評点で大幅マイナス。一人親方を使う場合は特別加入の確認も必要。
  • 健康保険・厚生年金の適正加入:全員加入でW評点にプラス。未加入は建設業許可更新にも影響するため最優先。
  • 建退共(建設業退職金共済)加入:加入・掛け金実績があるとW評点にプラス15点。未加入なら今期から手続きを開始する。
  • 建設機械の保有:ショベル・ブルドーザー等の特定機械を保有・リースしていると評点加算。リース契約でも一定要件を満たせば計上可能。
  • 若年技術者・若年技術職員の在籍:35歳未満の技術者・技能労働者の在籍割合が15%以上でW評点にプラス。採用計画に明確な数値目標を設定する。
  • 女性技術者・女性技術職員の在籍:在籍していることが確認できれば加算。採用・定着策を進めることで実現可能。
  • ISO認証・建設業経理士:ISO9001等の認証取得はW評点に加点。1級建設業経理士の在籍は財務管理能力の指標として評価される。

W評点は1項目あたり5〜20点程度の加算効果があります。現状の充足状況を一覧表に整理し、費用対効果の高い項目から順番に実施する計画を立てることが重要です。

X2(自己資本・EBITDA評点)を強化する実務対策⑦

X2評点は「自己資本額」と「利払前税引前償却前利益(EBITDA)」の2指標から算出されます。ウエイトは0.15と低めに見えますが、財務基盤そのものの強化に直結するため、中長期的に最も重要な対策です。

対策⑦:利益の内部留保を積み上げ、自己資本比率を高める

X2評点は自己資本額(純資産)が大きいほど有利です。自己資本を増やす最も確実な方法は「税引後利益を毎期内部留保として積み上げること」です。役員報酬の最適化・無駄な経費の削減・粗利率の改善によって経常利益を年間500万円以上確保し続けることが目安です。

EBITDAは「経常利益+支払利息+減価償却費」で計算されます。設備投資による減価償却費の増加がEBITDA改善につながる点も覚えておいてください。例えばICT建機や測量機器を購入し、減価償却費が年間200万円増加すれば、利益が同額でもEBITDAは200万円改善します。補助金(ものづくり補助金・IT導入補助金等)を活用して設備投資の実質負担を抑えながらEBITDAを改善する戦略が、中小建設会社にとって現実的なアプローチです。

なお、増資(第三者割当・株主追加出資)による純資産の増強も有効ですが、経営支配権の問題を慎重に検討したうえで実施してください。

まとめ

経営事項審査(経審)のP点は、X1・X2・Y・Z・Wという5つの評点の加重平均であり、それぞれに「打てる手」が明確に存在します。本記事で紹介した7つの実務対策を改めて整理します。

  1. 対策①:元請工事の比率を高め、元請完成工事高を積み上げる
  2. 対策②:1年・2年平均の有利な方を業種別に選択する
  3. 対策③:8財務指標を決算前にシミュレーションし、先手を打つ
  4. 対策④:借入構成を見直し、純支払利息比率を下げる
  5. 対策⑤:技術職員の資格取得を組織的に支援し、Z評点を上げる
  6. 対策⑥:W評点の15項目を一覧化し、費用対効果の高い項目から着手する
  7. 対策⑦:内部留保の積み上げとEBITDA改善でX2評点を底上げする

経審の点数アップは1〜2年で一気に実現するものではありません。しかし、今期の決算前に対策を打てる項目は必ずあります。まず現状の評点内訳を行政書士・税理士と共に分析し、「どの評点をあと何点上げれば上位ランクに届くか」という具体的な目標数値を設定することから始めてください。継続的な取り組みが、公共工事受注の拡大という形で必ず業績に返ってきます。

よくある質問

Q. 経営事項審査(経審)を受けなくても公共工事は受注できますか?
A. いいえ、受注できません。建設業法第27条の23により、発注者から直接請け負う公共工事(国・地方公共団体等が発注する工事)を受注するすべての建設業者は、経営事項審査を受けることが義務づけられています。経審を受けていない状態で公共工事を直接受注することは建設業法違反となり、行政処分の対象になります。なお、元請けの下請けとして入る場合は経審は不要です。
Q. P点を短期間(1年以内)で大幅に上げることは可能ですか?
A. 完全に不可能ではありませんが、慎重な計画が必要です。W評点(社会性等)は建退共加入・ISO取得・若年技術者の採用など、今期中に着手すれば翌審査時に反映できる項目があります。また、Z評点は技術職員の資格取得(1級施工管理技士合格など)で審査基準日時点の人数・資格が変われば即反映されます。一方、Y評点(財務)とX2評点(自己資本)は決算数値の改善が必要なため、最低でも1期分の時間が必要です。「どの評点でどのくらいの改善が必要か」を数値で明確にし、優先順位をつけて取り組むことが現実的です。
Q. 技術職員として経審に計上するための雇用要件を教えてください。
A. 技術職員として経審(Z評点)に計上するためには、審査基準日(決算日)において「継続して6か月を超える恒常的な雇用関係」があることが必要です。具体的には、健康保険・厚生年金の被保険者であること、または雇用保険の被保険者であることが確認できる書類(健康保険証、雇用保険被保険者証等)で証明します。中途採用の技術者を翌審査基準日に計上したい場合は、少なくとも審査基準日の6か月以上前に入社させる必要があります。入社時期を経審スケジュールと連動して計画することが重要です。
Q. 下請け専業の建設会社でも経審を受けるメリットはありますか?
A. 下請け専業のままでは経審を受ける義務はなく、取得しても入札参加資格には直結しません。ただし、元請け企業の中には「協力会社の経審P点や施工体制台帳の確認」を取引条件にする企業が増えており、経審取得が信頼性の証明になるケースがあります。また、将来的に公共工事の元請けを目指す場合、経審の取得・P点向上に向けた財務改善・資格取得は早期に着手するほど有利です。「まだ下請けだから不要」と判断するのではなく、3〜5年後の経営計画と連動して判断することを推奨します。
Q. 経営状況分析(Y評点)の申請はどこに行えばよいですか?費用はどのくらいかかりますか?
A. 経営状況分析は国土交通大臣に登録された「登録経営状況分析機関」に申請します。2026年時点で複数の民間機関が登録されており、代表的なものとして一般財団法人建設業情報管理センター(CIIC)、株式会社マッコイ21などがあります。申請手数料は機関によって異なりますが、おおむね1業種あたり7,000〜13,000円程度が相場です。申請から結果通知まで通常5〜15営業日かかります。オンライン申請に対応している機関も多く、必要書類(財務諸表・工事経歴書等)をデータで提出できるため、早期申請が可能です。行政書士に代行依頼する場合は別途代行報酬(2〜5万円程度)が発生します。

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